日本では国民皆保険という世界に誇ることができる福利厚生制度があります。また障害者や高齢者、低所得者に対しては治療や介護を安価で受けられるという制度も充実しています。そのため治療や介護を受ける人は、その費用の一部だけを負担し、残金は行政が支払ってくれます。しかし一般的には、行政の支払いは治療・介護が行なわれた翌々月の月末、というような支払い条件が設定されています。

そのためもし、治療・介護が月初に行なわれたとすると、その支払いは最長で3ヶ月ほど待たなくてはなりません。日本では超少子高齢化が急速に進み、介護サービスの要請はどんどん高まっています。しかし残念なことに業界が力を持っていないために、報酬額は少なく、介護に携わる人々の給与は一般的に他の業種と比べると低いことが指摘されています。このような背景がある上、行政からの支払いが遅くなると、介護サービス提供者が弱小の業者だった場合、ことに新規参入をはたしたばかりの業者だった場合は、資金繰りが悪化する懸念があります。

こうした問題意識に応えるために開発された金融商品が、ファクタリングです。ファクタリングとは、例えば介護サービスを提供した業者がサービス受給者や行政からのサービス料を受け取るより早く第三者から支払いを受けることです。そしてこの第三者がサービス受給者や行政から料金を回収するというのがその仕組みです。この第三者をファクタリング企業と呼び、介護サービス提供業者の債券を購入し、後に回収を代行するという役割を持っているのです。